――具体的な成果は。
一つがスキンケアブランドの「キオラ」です。
人の頭の使い方には大きくわけて二つのタイプがあります。たとえば、暗算というタスクが与えられたとき、緊張してストレスを感じてしまう人と、リ ラックスしたまま行える人がいますよね。このときの脳活動を調べると、前者は前頭葉の主として右側が活性化し、後者は左側が活性化していることがわかりま す。つまり人間の右脳は「ストレス脳」、左脳は「リラックス脳」なのです。このストレスモード、リラックスモードの脳と、香りの持つ力との関係の研究から キオラの開発はスタートしました。
その結果、私たちがいきついたのは、DMMB(1,3-dimetyhoxy-5-methyl benzene)という鎮静作用を持つ香り成分。スキンケア化粧品である「キオラ」シリーズには、この香りの成分DMMBが含まれており、朝晩スキンケア をしながら香りをかぐことと、リラックスモードの脳の状態を考慮しています。
図1は測定したデータです。右脳が活性化している女性のストレス脳が、1カ月間朝晩DMMBの香りをかいだ結果、左脳が活性化したリラックスした状態に変化していることがわかります。
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その中で、プログラムの実施後、車いすが必要だった方が歩けるようになった、おむつがはずせた、ということが実際に起きています。つまり、化粧をす ると元気になる、これはいったいなぜなのか、ということをプログラム実施前後の脳活動やそのほか心身の変化の測定を行い、その科学的な検証を進めていま す。
「化粧をすると元気になる」プロセスで起こっていることを探るために、私たちは二つの軸から変化をみています。その一つは、鎮静/覚醒という軸。もう一つは、快/不快という軸です。
なぜ、二つの軸をもうけたかというと、脳が活性化していれば快適かというと、必ずしもそうとはいえないから。怒りの感情を持っているときやイライ ラしているときも、脳は活性化しているのです。同じように、脳が鎮静化しているからといって、リラックスできているともいえません。落ち込んでいるときや うつ状態のときも脳は鎮静化しているのです。ということは、目指すところは快の状態での活性化ではないか。そのプロセスをあらわしたのが、図2です。
イライラ状態(不快の活性化状態)やうつ状態(不快の鎮静化状態)を、まず香りをかぎながらのスキンケアでリラックスさせる。この状態がグラフの 右下(快の鎮静化状態)です。ここで気持ちを集中してメーキャップをすると、気持ちがあがって元気になる(快の活性化状態)。これが、高齢者の方がお化粧 をすることで元気になるプロセスだと考えられます。